ザアカイさんの味方・クリスチャン新聞の論評(抜粋)


第21回あかし文学大賞は、クリスチャン新聞の1999年4月4日号に、選考結果発表が掲載されていて、「あかし文学賞」の選考委員である、東京中央教会名誉牧師の千代崎秀雄、東山キリスト教会牧師の玉木功、世界キリスト教情報主宰の郡山千里の三氏の、各作品に対する論評がありますので、『ザアカイさんの味方』に関する部分だけ抜粋させていただきました。
青色部分が新聞からの抜粋)

これは、三氏と記者との対談形式になっています。まず、記者のコメント

『「ザアカイさんの味方」は、会話だけで成り立っているという大変ユニークな作品です。』

千代崎氏
『一言で言うと達者ですね。関西弁を使っているのも成功しています。ただ登場する人物で後藤くんと山内くん以外の人物描写がもう一つ生きていない。文章としてリズムに乗って読みやすいがリアリティに欠けるという印象です。内容は、従来極悪人と見られがちだったザアカイについて、本当にそうなの?という疑問を出しながら、救いということの本当の意味に導かれていくというもので、本質に触れていると思います。』

玉木氏
『ある固定観念から自由になることが特色になっています。対話の展開がスムーズで読ませます。この作品をテキストに、息子と話し合ってみたいと思いました。』

郡山氏
『ト書きを抜いたシナリオみたいで、このままでは弱いと思います。会話でやるのも見識だが、最後のところが弱いですね。ただ、単純な聖書研究でなく、読ませるだけの組み立てになっているのがいいですね。面白く読めました。』

いかがですか? まあ、思ったよりはちゃんとわかって評価してくれてるようで、私としては感心したりほっとしたりしました。『本質に触れている』『読ませます』『面白く読めました』っていうところが私としては嬉しいですね。やっぱり、読んで面白くないとね、こういうものは。

それから、その新聞に、記者が各入選作のあらすじを書いていますが、「ザアカイさんの味方」のあらすじは以下のような書き方でした。

『教会ではクリスマスになると祝会をするが、その出し物は「ザアカイさん」の劇。「でも、どうして?」と疑問に感じた学生たちの間で、ザアカイさんは極悪人だったという定説を考え直すディスカッションが始まる。「救われるってどういうこと?」「天国に行ける信仰って何?」この会話だけの作品を読んでいると、教会学校の子供たちと聖書について自由に学んでいるような気持ちになってくる。自分を正しいものと認めて他人を見下しているパリサイ人に、あなたはなっていませんか?と問いかけている作品だ。』

最後の一文に、私は思わず苦笑してしまいました。まあ、このあたりが、普通のまじめなクリスチャンの感じ方なのでしょう。