人類に進歩はないのです。自己を何ものかに委ねて、自己を限定して貰って安心する人人と、自己ひとりの固有性に思い惑いながら、不安の中に大胆に飛びこんでいく人と、人類は古来つねにこの二つ の階級に分類されていたのではないでしょうか。

    亀井勝一郎著 『愛の無常について』 より