ふたりの男が道を歩いている。
A 「この道は神の国に通じている」
B 「どこに通じているわけでもないが、ほかに道がないので歩いている。目的地などない。誰かがこの道を設計して造ったわけでもない。問題になるのは、道のよしあし、天候のよしあし、旅行の運のよしあしだけだ」
倉橋由美子著 『城の中の城』 より